「永山君は殺人を犯したものとして死刑制度の廃止を訴えた。その死刑廃止論は明快だった。犯罪は仲間殺しであり、これに死をもって報いれば憎悪しか生まない。憎悪の連鎖を断ち切るためには、国家こそがどんなことがあっても人は殺さないとの規範を示すべきである。憎悪の連鎖を断ち切り、仲間意識を再生させることが国家の義務であると。」


永山子ども基金代表 大谷恭子 

永山則夫さんについて

19歳の時、4人を殺害した永山則夫さん。その裁判で明らかになったのは、虐待、貧困、児童労働、教育の欠如、愛情の欠如、人間関係の欠如といった、壮絶な少年時代でした。永山さんは収監後、獄中で学び、1997年の死刑執行までの間に『無知の涙』『木橋』など数々の作品を著します。

永山則夫さんが生前語っていたこと、死刑執行後には「遺言」となった言葉にはこうありました。「本の印税を日本と世界の貧しい子どもたちへ、 特にペルーの貧しい子どもたちに使ってほしい」。 1996年にペルーで起こった「日本大使公邸占拠・人質事件」。この報道を通じて永山さんは、ペルーの「働く子どもたち」と子どもたちを支援する活動について知ります。

貧困と虐待から、小学生の頃から新聞配達などの労働の場に身を置き、19歳の逮捕時には読み書きすらままならなかったという永山さん。貧しい子どもたち、特に、生活のために働かざるを得ない子どもたち、そしてその子どもたちの「生きる権利・働く権利」を守る活動に、強い思いを抱いたのかもしれません。

関連書籍の紹介

それでも彼を死刑にしますか(2010年8月刊行)

大谷 恭子/著 団藤 重光/序文 道浦 母都子/跋文
価格:定価1,600円+税
ISBN:978-4-7738-1014-1 C0032

お問い合わせ:株式会社現代企画室

ある遺言のゆくえ
死刑囚永山則夫がのこしたもの


お問い合わせ:有限会社東京シューレ出版